パパ稼業が忙しく最近はめっきり山に行けていないというN村氏と共に剣岳周辺の沢を滑りまくろうと気合を入れて入山した。
4月29日
本当は4月28日のうちに出発し、29日の朝入山する予定であったが、私の仕事の都合で出発を延期する。29日に東名阪をつかって春日井のN村氏宅により、深夜のR41号を激走した。途中高山の手前で「ビッグホーン」というハンバーグ屋に入り夕食をとる。この店、厨房が奥にあるらしく、調理している音がまったく聞こえてこない、しかも一から練っている?らしく40分ほどしてやっと出てきた。味はよかったが量がすくなくてちょっと不満。
立山の駐車場に到着後、車内で寝ることに。しかしN村氏の様子がどうもおかしい。どうも風邪がぶりかえしたらしく、さかんに咳をしている。もうここまで来たらショック療法で直してもらうほかない。山行はやくも危うし・・・
4月30日
ケーブルは朝5時30分ごろからうけつけ開始ということですでにたくさんの人が並んでいる。我々も移動し、係員の話をきくとなんと朝の2本のみが一般客用であとはすべて団体客などで予約されており、ようするに朝の2本に乗れない人はバスで上まであがってくれとのことであった。いやはやあぶなかった。早起きは三文の得!
室堂に到着するとド快晴。しかもすごい雪!喜ぶのもつかのま、パートナーN村氏はあいかわらず咳き込んでいる。とりあえず本日の行程は雷鳥平までなので早々に出発をする。会社の階段を上り下りしていた効果があったのか、私は体調も体力も絶好調。しかしN村氏は依然として調子が悪いらしく、ふらふらのろのろ状態。雷鳥荘のまえで「あたまがくらくらする」と高山病も誘発かという状態。病人に鞭打ち、雷鳥荘の斜面を滑降、テントを張る。N村氏には薬を飲んで寝てもらい、私は雷鳥層の斜面をのぼってスキー練習にいそしむ。
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立山は真っ白! |
今日の晩飯は春雨 |
春雨ぞうすいを食うN村氏 |
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立山三山の夕暮れ |
海草サラダ初体験「うまい!」 |
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5月1日
夜中に降雪があり、周りはすっかり雪景色である。とても5月とは思えない状態だ。一面ホワイトアウトの不順な天候の為、今日は停滞とする。パートナーN村氏の咳はいっこうにおさまらないため、今回予定していたBCの真砂沢はとても無理とあきらめ、雷鳥沢ベースにすることに変更。昨年の雪倉岳に加え、剣周辺の谷がリベンジの範囲になったことをお忘れなく>N村君。というわけで今日も天候の合間を見てスキー練習をしたが、昨日の湿雪は大変重くなかなか滑れない。ボーダーやスキーヤーも豪快にこけまくっていた。ザラメはどこへいった?という感じ。
夕食は本来なら停滞食のお茶漬けとなるはずだったが、行程変更によりクリームシチューを外で作って食べた。どんな状況でもこの瞬間は極楽天国という感じである。となりのおじさん(単独行)はさとうのごはんとレトルトカレーをたべていた。食後にパイプをふかしてずいぶん優雅な感じだった。
5月2日
今日は大気の状態が不安定になるとの予報であったので朝速攻で剣御前小屋をめざすことにし、5時に出発するはずであったがまたもや寝坊、6時に出発となった。雷鳥沢は尾根を忠実に登ることにする。途中までシール&クトーでがしがし登るが、斜度が急になったところでスキーをザックにつけてアイゼンを履きかえる。
下からは中高年登山隊がばらばらと登ってくる。ひとりの山スキー親父は100mほど滑落していたらしい。おおこわ〜。
一足先に剣御前小屋につき、剣岳を眺めていると、剣沢からスキーを担いだ一人の登山者が登ってきた。
「こんちわ」「あ、こんちわ〜」「イや〜剣沢最高だよ、雪質も5月とは思えないよ、スキーあるなら滑りなよ」とこのお方に強く勧められて、雷鳥沢をすべって終わろうつもりであったがさっそく空荷で剣沢を一本滑降することにした。乾燥粉雪で、最高の滑りを堪能することができ大感動。体調の悪いN村氏にも「今滑らなかったら絶対後悔するから行け!」と口説き、滑降してもらう。
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クラストした雷鳥沢を登る |
シール歩行で高度をかせぐ |
昨日の降雪で真っ白の山々 |
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剣岳をバックに |
剣岳も真っ白 |
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しばしの休息の後、いよいよ雷鳥沢を滑降する。クラストしていた斜面はてりつける太陽でほどよく溶けて滑りやすい極上斜面に変身していた。歓声をあげて斜面に飛び込む。他の山スキーヤーと「最高ですね〜」と声を掛け合いながら滑り降りた。こういう時スキーの威力を感じる。
雷鳥沢滑降後、フルーチェを作り、汗を吹き飛ばす。「おいしい〜」空にはこのころから綿雲ができ、さかんに雲がうごいている。3時ごろから本格的にホワイトアウトしはじめ、4時過ぎには雨、ひょう、雪、雷がなる。夕食後はさらに降雪があり、これは夜まで続いた。
夕方頃、我々のテントのそばに幕営した単独行のおじさん(携帯おじさんと命名)はさみしいらしくもちこんだ携帯電話でさかんにだれかと話しをしている。しかも「今ね、山なんですよ、すみませんね」とかお客様相手?に言っている。「うるさいっちゅうの!!あやまるくらいなら来るな」と心の中で叫びつつマナーの悪さに閉口。静かな空間をひきさくあの呼び出し音は堪忍してほしいものである。死刑です。(僕的には夏場によく登場する、歩きながらラジオをつけて歩く単独行者も許せないんだけどね、)
肝心の大気の状態は明日まで不安定、かつ本日の降雪およびパートナーの体調を考え、明日下山することに。
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雷鳥沢を滑降 ! |
歓声をあげながらターンする |
ほっと一息 |
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コッヘルで具を炒める |
ドライカレー定食の出来あがり |
持参した食料の一部 |
5月3日
朝から天気は悪い。昨日の新雪はまたもや湿雪だ。はやばやとテントを撤収し、雷鳥荘の前の尾根をスキーラッセルして上にあがる。アタック装備の2人組にラッセル泥棒されたのにはちと腹が立ったかな。連休突入ということでわけわからん遭難予備軍観光客やゲレンデボーダーで道はいっぱい。吹雪になれ〜と心のなかで祈りつつ、室堂到着。一面のホワイトアウトで、ツアー客のおばさんたちはがっかりしていた。こればっかりはどうしようもないね。
下りのケーブルカーとは対照的に下からは登山者、観光客でいっぱい。駐車場で荷物をつめこんでいると雨がふってきた。やれやれ。
立山駅から雷鳥バレーにある厚生年金センターの風呂に入り、富山市にでておなじみ「たっちゃん」で食事をしたあと、駅前デパートでマス寿司とさば寿司を買って帰路についた。下りていると、下界はキレた少年による西鉄バスジャックの話題一色だった。
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